親子でメルボルン! 10日間のHomestay 本文へジャンプ


2007年5月、東京・練馬区に在住の原純子さんが、6歳の娘さんと2人で10日間にわたってホームステイでメルボルンを訪れました。その体験手記がある会社の広報紙に7回にわたって掲載されました。


初日からホストファミリーに溶け込むわが娘 【その1】



■初日からホストファミリーにとけこむわが娘■

 「親子で体験してみませんか?緑ゆたかな国、オーストラリアでの短期留学・ホームステイ!」という実地体験に、6歳の娘と2人で、5月15日から10泊のホームステイに出かけました。私は英会話学校へ、娘は私立保育園へ通う日々は、ドキドキの連続でした。

 ホストファミリーの家は、メルボルン市内から電車で30分のグレンハントリー駅の近くにありました。ご夫婦と14歳の息子さんの3人家族に加え、茶色い犬が住む、明るい一軒家!お父さんは建築士、お母さんは男子高の図書館司書のお仕事をされていました。

 最初のあいさつから英語が聞き取れなくて狼狽する私を横に、娘はものおじすることなく14歳のお兄ちゃんと並んでソファに座り、NG特集のテレビ番組を見て爆笑していたのです(我が子にあっさり完敗)。

■生まれて初めて英会話学校に通う■

 私と娘は毎朝7時20分に2人で家をでて駅まで歩き、メルボルン市内へ向う電車に乗りました。最初は路線図を見ながら「あと何駅…」と地図に指をおいて、緊張しながら乗っていました。サザンクロス駅で下り、娘を保育園に送り届け、トラム(路面電車)で英語学校へ。優しそうな(けれど早口の)マイケル先生に案内されたクラスで、必死に自己紹介(汗だく)した私ですが、先生や学生たちが優しく声をかけてくれました。1クラスの生徒は10人前後で、日本、韓国、中国やインドなどアジア各国からの留学生がいました。英会話学校は初めてでしたが、毎時間与えられたテーマのディスカッションに夢中になり、とっても刺激的でした(英会話学校の様子やステイ生活は次号以降でリポートします)。

 娘が、スティ先に着いたその日から「カンガルー!カンガルー!」と騒いだおかげで、日曜日にはMARU動物園へ。かわいいワラビー、よこしまなタスマニアンデビル、元気に動き回るコアラにも目が釘付けになった娘は「夢がかなったあ!」と絶叫。ちなみに、娘がホストファミリーにのべつまくなし話しかけるので、ファミリーに「What did she say?」と聞かれ、翻訳(?)をせまられた私は、苦労しつつも、いい勉強になりました。




メルボルンの英語学校での生活 【その2】



■メルボルンの英語学校での生活■

 私が一週間通った英会話学校には、受講期間2週間の短期受講生から6ヶ月、2年といった長期の学生まで様々います。日本、韓国、中国、インドなどアジア圏からの留学生が多く、セルビアの男子学生もいました。ビギナークラスから上級まで分かれており、また看護教育コースや医療教育コースもあって、日本から来た看護師が多く在籍していました。

 毎週金曜日、ラウンジで簡易卒業式が開かれ、巣立っていく学生達が「郊外の保育園でボランティアします」「医大に通います」「国へ帰るけど、また絶対来ます!」などとスピーチすると、「行くな!」「僕と結婚してくれ!」などと声がかかり、歓声が起こっていました。
 私の入った初級クラスには、9名の学生がいました。

■いつも問われる「あなたの意見は?」■

 初日の授業は、先生が読み上げる短いストーリーのあらすじを自分の言葉で伝え、意見交換するというものでしたが、それはとても興味深いものでした。

 たとえば、ピアスを鼻や額、頬、そして舌にまでつけている女性のエピソードを読み、あなたはどう思うか?あなたの国ではどのようなおしゃれ文化があるか?などと聞かれます。「私の国では、体に穴をあけるなどという文化はない」「ピアスは子どものころからやっており、抵抗はない。でも舌にやるのは勇気がある」など、国によって慣習も違うので、討論が盛り上がります。他にも「ある家のペット(なんと豚!)が、突然倒れた一人暮らしの飼い主を助けるために、道路で車を止めて救急車を呼んだ」という文を読み、「人助け体験はあるか?」との問いかけに、受講2ヶ月目の女子学生が、必死で英語とボディランゲージでその体験談を伝えようとしていました。

 別のクラスも見せていただきましたが、やはり、「あなたの意見は?」と聞かれることが多かったです。

■片言英語をセミプロ並みの演技力でカバー■

 「ここに仕事が長続きせず、ひきこもりになった男性がいます。どんなアドバイスをしますか?」というテーマで、その男性役とアドバイサー役に分かれてロールプレイをした時、私は男性になりきって「I don't like my life!」と、文は中1レベルですが、セミプロ並みの演技力で、大うけして拍手をもらいました。先生も学生の意見の引き出し方が上手で、みな生き生きと授業に参加していました。

 一週間過ぎた頃には、英語オンチの私でも、英語が飛び交う空気自身を自然体で楽しむことができていました(もちろん理解できるに越したことはないのですが)。

 この英語学校には、日本人のスタッフが2人常駐しているので、困ったことがあったら、すぐ相談できるし、安心して受講できるので、お奨めです。




のびのび過ごした我が娘 【その3】



■娘の通った私立保育園■

 親子短期留学中は、子どもを1週間、メルボルン市の私立保育園に預けました。注目すべきは、やはり保育室の広さです。街中で、ビル内にある企業運営の保育園ですが、それでも各部屋が、優に100uを超える保育室で、娘の入った3〜5歳児クラスでは、15人位の子どもたちが好きなコーナーで思い思いの時間を過ごしていました。絵本コーナー、ままごとコーナー、コスチュームコーナー、ペインティングコーナー、積み木やゲームコーナー、キーボードコーナー、ミニ砂場コーナー(室内)は、常設です。食堂は別にありました。

 保育室に隣接して広い人工芝のベランダがあり、どのクラスも外遊びはそこでしていました。広いということのよさは、かたづけなくてもよいということで、昼食後に遊びの続きをしたりもできます。午睡は、寝たい子は寝るという考え方です。

■労働者天国のお国柄■

 この国の保育園の運営形態は、企業へ委託する方式が日本よりかなり前からすすんでいますが、保育士の給与は、4〜5年目の保育士で月給30万円と、一定の水準をクリアしており、週37.5時間労働が守られているとのことです。また、労働者天国とも言われる風土もあって、年休が2週間くらいあり、その間は、休暇手当が給与に上乗せされるのだそうです。「ゆっくり旅行に行っておいで!」と会社が送り出してくれるわけです。

 保育士の配置人数は、3歳未満児5名に対し保育士1名、3歳以上児15名に対し保育士1名という法基準だそうです。他にも無資格の保育ボランティアの受け入れを積極的にやっていて、スタッフは十分いるようでした。

■のびのび過ごした我が娘■

 当の我が娘はというと、まったく日本語の通じない環境で、朝8時半から夕方4時半まで、のびのびと過ごすことができました。持参した折り紙で、手裏剣を作ったり鶴を折ると、子どもがあつまり、折り紙タイムが始まったようです。連絡帳はありませんでしたが、その日一日どのように過ごしたかを、一覧にして記録してくれます。お昼寝も平均1時間くらいはしたようです。初日のお迎えのときに「困ったことはなかった?」と聞くと、「……おかわりが言えなかった。デリシャスは言えたんだけど」との答え。(えっ、それだけかい?)そして翌日には、「モァ!」とお友達に真似て言ってみて、成功したようです。わが娘は、英語圏で生きていける子のようです。娘を迎えに行ったあと、夕方、二人でトラムに乗ってヨットハーバーを散歩したのもいい思い出です。




ステイ先家庭の生活-@ 【その4】



■ステイ先家庭の生活■

 夕方5時には、お父さん、お母さん、息子のアンドリアンの家族全員が帰宅していました。これが平均的なファミリーの姿だそうです。私と娘が5時半過ぎに戻ると、リビングでは夫婦がソファに座り、ワインとチーズでお父さんはテレビのスポーツ観戦、お母さんは読書で、ゆったりと過ごしていました。息子のアンドリアンは14歳、日本でいうと中学2年生ですが、塾などは行っていません。金曜日に空手を習っているのと、平日の午後にテニスを楽しんでいます。

 お父さんは建築士、お母さんは男子高の図書館司書の仕事をしています。朝は結構早く、お父さん6時、お母さん7時、アンドリアン7時20分、(私たち母娘も7時20分)出発ということで、この時期(5月)の朝7時はまだ暗いのですが、それぞれ好きな種類のシリアルを食べ、出かけます。ちなみにお弁当はサンドイッチ&りんごかバナナと決まっていて、前の晩にみんなの分をお父さんが作ってくれました(おいしかったです)。

■キーパーソンはわが娘■

 スティ家族との交流のキーパーソンとなったのは、他ならぬわが娘でした。

 飼われていた犬をすっかり気に入って、犬についてまわり、犬の寝床に一緒に入って、寝転んでいました。また、娘が日本から持参したゲーム(ニンテンドーDS)をアンドリアンも持っていて、カセットを入れ替えて、操作ができました。英語版の「ニンテンドッグ(犬の飼育)」を借りたり、「脳トレーニング」を貸してあげたりして大はしゃぎ。朝7時からテレビでアニメ「遊戯王」(英語版)が始まり、二人並んで見入っていました。

 夕ご飯は、ジャガイモとニンジンと鶏肉をオーブンにいれて、焼きあがるのを待つだけとか、リゾットとかハヤシライスとか、ほぼ毎晩一皿料理でした。30分も40分も台所にたって何品も作るという日本の主婦(?)のような場面は見られません。

■たっぷり家族の時間を楽しむオージーの暮らし■

 土曜日は、インドアバーベキューで、ラム肉、とり肉、豚肉の串焼きの山盛りでした。夏場は毎日、中庭でバーベキューだそうです。「毎日?」「そう毎日!」。肉の種類とその量にびっくりでした。日曜日に連れて行ってもらったマル動物園では、ワラビーやカンガルーと触れ合い、目の前でコアラが木を伝って歩いていました。遠くに羊の放牧風景が広がり、ちっぽけな悩みなんかこの雄大な大地の前では、吹っ飛びそう!ミニゴルフにも挑戦して娘も私も満喫しました。お父さんはフットボールチームにも所属していて、スポーツマン。「オージーは皆スポーツが好き」と言っていました。スポーツをしたり、家族の時間をたっぷりつくることが、この国の人たちの過ごし方なんですね。




ステイ先家庭の生活-A 【その5】



■節水!シャワーは4分まで■

 ホストファミリーは、朝シャン族でした。夜、空手のおけいこから帰ってきても風呂に入る様子はなく、みんな朝シャワーをあびるのが日課でした。

 おかげで、私と娘は夜好きな時間にシャワーを浴びれるぞ!とばかりに、二人で交代で浴びながら、シャンプーしていました。湯船もありましたが、機械の関係で使えないということでした。水を出しっぱなしにしていると、ピピピ、と何分かおきに鳴るのでなんだろうと思いながら長居をしてでてくると、お母さんによばれ、「純子、シャワーは4分までね」と言われました。その理由をていねいに紙に書いて説明してくれました。

 「この国は雨不足なの。いま、深刻で、水のタンクの量が異常に減っているのよ。使用制限が出されていて、我が家のシャワーの水は1分おきに鳴るようになっているの。だから4回鳴ったらおしまい、協力してね。」ということでした。日本人ガイドのしずこさんからも、異常気象の影響がいろいろあってね、という説明を受けていたことを思い出しました。

■母娘別々に入ったら…■

 出しっぱなしはよくないと反省したのですが、なにせ湯船が使えないのです。日本人として、風呂なしで、親子ふたりで4分以内は結構きついものがありました。考えた挙句、娘と別々に入ることにしました。一人4分ずつとなったため、わりとゆったり入れたと思ったのですが、もしかしたら娘がいないせいかもしれません。しかし、ほっとしたのもつかの間、娘に「一人で入りなさい」と言って少しほうっておいたら、大声で歌をうたいだし、「にしおか〜すみこ(最近流行のお笑い芸人)だよー」などと叫んだりしてテンションが上昇しっぱなし・・・。ファミリーに心配されるし、泡だらけにして、大変なことになってしまいました。そういえば、ファミリー宅には、ティッシュボックスがリビングにひとつしかありませんでした。ティッシュをつかう習慣はあまりないようでした。

 環境問題はいまや地球規模!世界の人と対話をしながら、できることからはじめないといけないのでしょうね。




メルボルンの交通事情 【その6】



■メルボルンの交通事情――お得な「共通乗車券」■

 メルボルン市の交通は、とてもわかりやすいのが特徴です。町は碁盤の目のようになっていて、少しの距離でも、数分おきに来るトラム(路面電車)に乗って移動することができます。

 道路には、名前がついていて、「エリザベス通りと●◆通りが交差するところ」と言えば、待ち合わせも迷うことがありません。

 市内と郊外を行き来する電車も市中心部からほぼ同距離の第1エリア(だいたい電車で30分くらいの駅まで)、その外側に第2エリア、第3エリアと色分けされていて、第1エリア内の移動だったら、バス、トラムのどれにでも何回でも乗れる「共通乗車券」が発行されています。日本のように、何駅から何駅まではいくらという切符は販売していません。その共通乗車券の2時間以内券が、3.20ドル、一日券が6.10ドル(約665円)となっています。

 しかも、割引制度があります。日本にも障害者割引などがありますが、それに加えて、母子家庭であるとか、失業中であるとかの証明ができれば割引券が購入できるのです。割引の対象の幅がとっても広いですね。ちなみに母子家庭にはとても行政の保護が厚く、「働かなくても十分生活していけるのよ」とガイドさんが話してくれました。

 失業手当も日本のように期間があるわけではなく、次の仕事が決まるまで給付を受けられるそうです。

■乗り越しには罰金刑!?■

 でも一つ、来訪者にとって要注意なのは、第1エリアを越えて、第2エリアの駅まで行くときは、必ず、乗る前に行き先エリアまでの切符を購入することが必要です。駅によっては駅員さんのいない無人駅もあるので、電車の中で車掌さんに切符の提示を求められたときに、そのエリアまで乗れる切符を持っていないと、不正を働いたとみなされるそうです。場合によっては、100ドル(1万円以上!)も罰金を払うケースもあるとか。旅行に行かれる際には、気をつけてくださいね。

 日本の交通は、海外からの来訪者にとってわかりにくいだろうなあと、帰国してからしみじみと感じました。運賃が行き先によって異なるだけでなく、会社線が異なると切符を買い直さなければならないのですもんね。

 とくに、世界中から多くの人が出入りするトウキョーなんですから、「わかりやすく、安い交通利用方法の実現を求めます!」。共感していただけましたか?




しよう させよう!留学 【その7】



■しよう させよう!留学■

 メルボルンから40分ほど電車に乗って「Mentone Grammar School」(メントングラマースクール)を訪問し、見学しました。私立で、幼稚園から高校3年まで、1500人の生徒が在籍している大規模校です。もとは男子校で、現在も男3:女1の割合です。

 ひとみさんという日本人学生が在籍していました。12年生(高校3年生)で、高校1年時に単身やってきて、ホームスティをしながら通っています。心理学に興味を持っているそうです。他にも高校1年生の日本人交換留学生が2人いるそうです。

 この学校では、留学生の受け入れを積極的に行っていて、英語が母国語でない生徒に、それぞれの語学レベルにあわせて週2〜3コマの特別授業をしています。ESLというもので、その日も英語の映画をみながら解説をしたり、小説を読み進めるなどの授業をやっていました。韓国や中国の学生も熱心に勉強していました。体育の授業ではホッケーをやっていて、みんな楽しそうでした。ちなみに学生たちは、先生のことを「ティチャー」とは呼びません。すべて、名前で呼び合います。

 メルボルン・ホームステイセンターは、このように他国からの短期または長期の留学生を受け入れる中・高校を多数確保していて、ホームステイ滞在中に、学校に通えます。日本以外の学校で授業を体験することは、今まで何の疑問もなく通っていた自国の授業システムを見直すこともでき、その学生にとって貴重な体験となることは間違いありません。

■ジャパンタイムスの記事から■

 5月26日付ジャパンタイムスの「Let's study abroad」という記事によると、日本人の海外留学生の数が1990年代初期から激減しているとのこと。海外からの留学生が増加しているのに、日本人留学生が減っているのは、「学友と同じ歩調をとらないと、卒業が遅れることを恐れ、留学を回避する学生が多い。留学どころか、大学3年から始める就職活動に忙しい学生が多い」からとか。筆者は海外体験の重要性を説き、「言語、コミュニケーション能力を磨き、異文化を理解する必要がある」、「国内よりも海外で日本について学ぶことが多い、企業なども新入社員採用方針を改め、学生の海外経験を重視すべきだ」と訴えています。私も今回のホームステイ体験で、学ぶこと大でした!チャンスがあれば、「しよう、させよう、留学!」と、中・高校生はもちろん、中・高齢者のみなさまにも、お勧めするものです。

 ご愛読ありがとうございました。